こんにちは、ミャザです!
今回紹介するのは、
伊坂幸太郎 著
『チルドレン』
独自の価値観を持ち、自分のペースに周りを巻き込んでいく「陣内」。
でもなぜか憎めない男であり、
読み終わった後には、もっと陣内のエピソードを欲しがるようになっていきます。
そんな陣内の周りで起こる、ファニーで心温まる作品です!
本作は、5つの短編から構成されており、時系列がバラバラな短編を組み合わせた、伊坂幸太郎さんならではの独特な手法を使っています。
「なぜ陣内はこんな行動をするのか?」、陣内の考え方に注目すると、より面白くて楽しく読める作品になっています!
目次
01:『チルドレン』作品情報とあらすじ
『チルドレン』作品情報
著者 :伊坂幸太郎(いさかこうたろう)
出版社 :講談社文庫
発行年月:2004年5月(単行本)
ページ数:347ページ(解説アリ)
本作は、2006年に映画化をされており、続編である「サブマリン」が2016年に刊行されています。
『チルドレン』を読んだ方なら、映画や次作もぜった見たくなるはずです。
そちらも是非!
あらすじ
「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々—。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。
02:『チルドレン』短編集のふりをした長編小説
・とにかく「陣内」に興味を惹かれる
読み始めの時は、陣内は変人であり、周りを巻き込む身勝手な奴だったので、好きになれないキャラでした。
でも読んでいくにつれて、変人には変わりないけど、ときには一本軸のあるまっすぐでかっこいいと思えるシーンや、変人っぷりが笑えるようなシーンが出てきます。
すると、「陣内のもっと色んなエピソード知りたい!」と思うようになっていきました。次はどんなことを言ってくれるのか、どんなことをするのかと興味が湧いてきます。
好きな、陣内の無茶苦茶なシーンは、
陣内たちが銀行強盗に会い、犯人グループは銃を持っており、ロープで縛られお面を被らされているシーンです。
普通だったら、目を付けられないように黙って目を伏せたり、泣いて怖がったりするところですが、陣内は違います。
しばらくして声が聞こえ、鴨居ははっとする。最初は、囁き声や呻き声なのかと思ったが違った。緩やかな強弱と、音の高低とを伴った、歌だった。鴨居は横に目を向ける。歌を口ずさんでいるのは、陣内だった。面を被ったまま、唇を動かしている。
こんな状態の中、ビートルズの歌を口ずさんでいる陣内は頭おかしすぎです!笑
しかしこのシーンでは、陣内の歌が上手過ぎて、銀行内にいる人たち皆が聞き入ってしまったんではないかと表現しています。
・一つ一つを取っても面白い物語
『チルドレン』は、5つの短編からなる作品です。
・バンク
・チルドレン
・レトリーバー
・チルドレンⅡ
・イン
どの短編にも、変人の陣内によってかき回される話になっていますが、
陣内という存在を抜きにし、「一つの話を膨らませて、一冊のミステリー小説として書き切っても面白いだろうな」と思えるくらい、一つ一つの話が面白いです。
しかしその話に、陣内という人物が存在することにより、シリアスな物語であったはずが、ファニーでコミカルな物語に変わります。
そのくらい陣内という存在が大きいです。彼を中心にして問題が起こり、彼を巻き込まずに彼の周りで問題が解決していきます。
陣内がいないバージョンの、シリアスなミステリー小説としても読んでみたいです!笑
・陣内の一番好きなシーン
大人になった陣内は、家裁調査官になります。
(家裁調査官とは、非行少年たちに話を聞き、調査、調整を行い立ち直りをサポートする仕事です)
陣内は、後輩の武藤が非行少年の話を聞くときに「この本もってけ」と芥川龍之介の「侏儒の言葉」という本を武藤に渡します。
その本には、「侏儒の言葉 トイレの落書き編」と書かれた紙が挟まっているのを非行少年が見つけます。
『神よりも紙を。そして髪も』
『産婦人科医になりてえ!』
などが書かれています。笑
「何って、俺がわざわざ作ったんだよ。街のトイレから拾ってきた名言集。力作だろ。なかなか面白いこと書いてあるもんだよな」
この変な名言を集めるためだけに労力を割いている陣内は、何を思ってこんな事をしているんだろう。笑
こんなバカバカしい紙ですが、非行少年とその父親はその紙を見て明るい表情を見せます。
変人ではあるが、こういうユーモアがあって周りに影響を与えられる部分は、尊敬します。
なんやかんやで次はどんなことをしてくれるのか、期待しちゃうんですよね
03:『チルドレン』独特なキャラクターと物語に注目!
本作、『チルドレン』は、
日常の謎ミステリーではあるが、
「陣内」の行動自体がミステリーみたいな作品です。
なので、ミステリーとして読むよりは、元気がないときに「陣内」を見ることによって、元気が出るような作品になっています。
「陣内」だけでなく、伊坂幸太郎さんならではの、独特な連作短編物語にも注目してほしいです!
伊坂幸太郎 著
『チルドレン』
是非読んでみて下さい!!
最後まで読んでいただき
ありがとうございました!
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