【感想】「理由あって冬に出る」似鳥鶏著|「学校の怪談」の裏に隠された、事件の真相とは!?

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こんにちは、ミャザです!

 

今回紹介するのは、

似鳥鶏 著

「理由(わけ)あって冬に出る」

学校の怪談の謎を解き明かす、青春ミステリーとなっています。

 

でも、それだけではありません。

芸術棟で、「フルートを吹く幽霊」と

壁の中に引きずり込んでくる「壁男」が出るという噂がある。

学校の怪談の定番のような噂ですが、

実は、その裏に隠された真相に近づいていくにつれて、驚愕する事実が訪れてきます。

 

学園青春ストーリーであり、

怪談を扱ったミステリー作品です!

本作は、「市立高校シリーズ」の第一作目となっています。

 

01|「理由あって冬に出る」の作品情報とあらすじ

「理由あって冬に出る」の作品情報

著者  :似鳥鶏(にたどりけい)

出版社 :創元推理文庫

発行年月:2007年10月

ページ数:242ページ(kindle版あとがきアリ)

著者の似鳥鶏さんは、2006年に「理由(わけ)あって冬に出る」で第16回鮎川哲也賞に佳作入選しました。

そして翌年2007年に同作品で小説家デビューします。

 

あらすじ ↓

某私立高校の芸術棟にはフルートを吹く幽霊が出るらしい—。吹奏楽部は来る送別演奏会のための練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまった。かくなる上は幽霊など出ないことを立証するため、部長は部員の秋野麻衣とともに夜の芸術棟を見張ることを決意。しかし自分たちだけでは信憑性に欠ける、正しいことを証明するには第三者の立ち合いが必要だ。……かくして第三者として白羽の矢を立てられた葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に表れた! にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは? 第16回鮎川哲也賞に佳作入選したコミカルなミステリ。

02|学校の「青春」と「怪談」と「噂」と・・・

学校の離れにある「芸術棟」には、

「フルートを吹く幽霊」と壁の中に引きずり込んでくる「壁男」が出るという。

そんな学校の怪談の真相を確かめるために、夜中の学校へ男女2:2で忍び込みます。

めっちゃ青春してますね!!

 

何を隠そうこの物語は、主人公が平凡な男子学生という感じでありながら、知り合いが多く女子と仲が良い羨ましい立ち位置にいます。

主人公の恋愛要素はそんなにありませんが、十分女子と青春している場面も出てきます。

 

夜中に学校に忍び込むと、幽霊の仕業かトリックか、どちらにも取れるような現象を実際に体験することに。

ホラーとしては弱いが、ミステリーとして謎解きし甲斐があるような体験です。

 

その実際にした体験から、噂はどんどん広まっていきます。

噂を聞き確かめるために行動を起こすと、その行動がまた噂として広まっていく。

伝達速度の速い噂や怪談を使ったトリックまでとは言いませんが、ミステリーの展開をしていきます。

 

噂は噂であり、どのくらい信憑性があるものかは分からない。自分で確かめるのが手っ取り早くて確実な方法。

噂は頭の片隅に置いておくくらいがちょうど良い。

03|学校の怪談や噂を分析する!

学校の怪談や噂は、

「どのように広まっていくのか?」、「どんな特徴があるのか?」

について考えたことはありますか?

 

「それってホントなの?」

「どうせ嘘でしょ」

と切り捨てるのは簡単です。

でもそこで「なぜ?」と踏み込んでみると意外と面白い。

 

作中で、物識りの先輩、伊神さんが怪談や噂に対して、

怪談や噂について分析しています。

「口裂け女」、「テケテケ」など、現代に出てくる怪物は決まって足が恐ろしく速いという議題。

「足が速い、という設定にしておけば、出会ってしまったら走って逃げても無駄、という恐怖感を与えられる」

「加えて、『耳を澄ましていれば足音が聞こえ、出会う前に逃げられる』という具合に対処法がちゃんと示されている点だ。これも怪談の特徴だね

特徴がはっきりしており、恐怖感を与え、対処法まで存在する。

 

「口裂け女」の場合だと、地域によって物語が違うって聞いたことありませんか?

包丁や鎌を持っていたり、赤い服にハイヒールを履いていて、

対処法は「ポマード」と3回唱える、マスクを取っても「綺麗だよ」と言うなど。

噂が、ある点から派生していき、尾ひれが付いていく良い例ですね。

 

こういう噂を調べてみるとより楽しめるかもしれません。

尾ひれが付くから面白いストーリーになるけど、真実を知りたい人からしたら迷惑な話ですね。笑

 

本作は、話に尾ひれがついた噂から広まった事件です。事実と噂をどう見極めて推理していくのかにも注目して楽しんでください!

04|感じたこと:登場人物が色々いて分かりずらい

本作を読んでいて感じたことは、

あらすじに、高校生探偵団と書いてあるため、集団で謎を解いていくストーリーになると思っていました。でも実際は、謎解きをするのは物識りな先輩、伊神さんだけ。

主人公は、伊神さんに指示されながら足を使って情報を集めていき、伊神さんが推理する。

 

他の人物は、夜中の学校に忍び込んで心霊現象を体験するだけ。一人一人重要な役割はあるのだが、ところどころ出てくるだけなので、いまいち感情移入しずらいし、「この人誰だっけ?」みたいなことにもなりかねない。

探偵団にしてはまとまってないし、そもそも結成した描写もない。主人公と伊神さんの二人が、メインで活躍する、といった感じ。というか、ほぼ伊神さん頼りの物語。

 

物語が進むにつれて、事件が一転、二転としていきます。が、登場人物たちのキャラクターがいまいちわかっていない状態で進んでいくので、ゴチャゴチャしていて余計に分かりずらい。

 

シリーズの一作目に「ドンっ!」と、面白い展開をするストーリーなのは高評価です!

しかし、キャラ立てをもう少し丁寧にしていただけると、より分かりやすいんじゃないかな?と、素人目線での感想です。

05|学校の怪談ミステリーだけで終らない作品!

「理由あって冬に出る」は、

市立高校シリーズの第一作目であり、この後も続いていきます。

 

学校の怪談を扱った、青春ミステリー作品です。

そしてその裏に隠された大きな真相について迫っていくストーリーとなっています。

 

似鳥鶏著

「理由あって冬に出る」

是非読んでみて下さい!!

最後まで読んでいただき

ありがとうございました!

 

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