<古典部>シリーズの1作目であり、
アニメ化もされている作品、
「氷菓」
米澤穂信
「省エネ」主義である主人公・折木奉太郎が、
古典部の個性豊かで魅力的な登場人物により、
面倒な謎に巻き込まれていきます。
古典部員の4人とも、個性がはっきりと分かれており、
その4人のタイプそれぞれ、自分に当てはめて読むことができます。
ミステリー小説を読むときに、
・探偵目線で「推理しながら」読むタイプ
・何も考えず結末まで「一気に読み切る」タイプ
・「情報を整理」し、あくまでも推理ではなく展開を追うタイプ
・現実主義で探偵の推理に「ツッコミを入れながら」読むタイプ
読み方にはこのようなタイプがあると思います。
自分のタイプに合った登場人物に、
感情移入して読むことができる作品となっています。
日常の謎や、古典部の文集である「氷菓」の謎を解き明かす、
青春ミステリー小説です。
[quads id=1]目次
1.「氷菓」の作品情報とあらすじ
1.1:「氷菓」の作品情報
著者 :米澤穂信(よねざわほのぶ)
出版社 :角川文庫
発行年月:2001年11月1日
ページ数:214ページ
2001年に書かれている小説ですが、古っぽい表現はなく、
現在と同じように青春を感じながら読むことができます。
この<古典部>シリーズでは、
すでに続編が5冊ほど出ています。
・「愚者のエンドロール」
・「クドリャフカの順番」
・「遠まわりする雛」
・「ふたりの距離の概算」
・「いまさら翼といわれても」
※シリーズ順となっています。
1.2:あらすじ
いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた33年前の真実_。何事にも積極的には関わろうとしない”省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。爽やかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ、<古典部>シリーズ開幕!記念碑的デビュー作‼
2.個性豊かで魅力的な登場人物たちの紹介
2.1:主人公でありながら”省エネ”主義者:折木奉太郎
この物語の「探偵役」です。
「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に」
これが奉太郎のモットー。
薔薇色の高校生活に後ろ向きなわけではなく、
あくまでも浪費は好まないという事らしい。
貴重品と思われない、落し物を見つけたときに、
一円以下の価値のものを拾うために身を屈めても、必要なエネルギー消費は一円を上回ってしまうというのは省エネ者の間の常識だ。
徹底的な、”省エネ”主義ぶりです。
2.2:ヒロインで好奇心の申し子:千反田える
この物語りの「事件を持ってくる役」というイメージです。
日常の些細な謎に対して、
「わたし、気になります」と
気にならずにはいられないといった感じで、”省エネ”主義の奉太郎を引きずり回します。
第一印象は、「清楚で古風な女学生」だったが、
全体の印象に似合わず大きく活発そうな目。その目が千反田えるの本性だ。気になる。その一言で桁上がりの四名家のお嬢様は好奇心の申し子になってしまったようだ。
奉太郎とは真逆の存在と言えます。
2.3:奉太郎の旧友にして好敵手:福部里志
この物語の「情報屋」です。
無用な知識が無駄に豊富で、
入学一カ月足らずのときから「学校側は教室の管理がうるさく、ドアは内側からのロックができないようになっている」ことまで知っているほどである。
この無用な知識で、奉太郎の推理に情報を渡しています。
里志の口癖は、
「データベースは結論を出せない」
結論は出せず、情報を提供する役割であることを自覚しています。
2.4:相手にも自分にも厳しい完璧主義者:伊原摩耶花
この物語の「一般的な見方の役」というイメージです。
世間とはちょっとズレた、個性的な登場人物がいる中で、
摩耶花は逆に、日常の謎を解き明かす上で、一般的な視点からの疑問や意見をもたらしてくれる人物です。
「謎」に対してツッコミがいると分かりやすいですよね。
初めての登場シーンで、
「あれ、折木じゃない。久しぶりね、会いたくなかったわ」
と奉太郎に対しては毒舌です。
この一言が印象的で、摩耶花っぽいセリフです。
3.名シーン
3.1:省エネ主義の奉太郎の想い!
物語の終盤で、
文集「氷菓」の名前の意味が何なのか、奉太郎は気がつきました。
しかし、他の皆は気づかず、奉太郎は苛立ってしまいます。
俺は腹を立てない性分だ、疲れるから。だが俺はいま苛立ちを感じた。関谷純のメッセージを、誰も受け取れなかったというのか。この、下らないメッセージを、受け取るべき俺たちが受け取っていない。そこに俺は腹がたった。
”省エネ”主義で、感情すらあまり表に出さないのに、
この件に関してだけは、何としても受け取らないといけない!
そんな強い思いが奉太郎にもあったことに驚きました。
「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に」
やらなければいけないことに対しては、責任をもって行う。
”省エネ”主義だからと言って、
「やる時はやる男」だと分かり、感動しました!
「やらない時はやらないけど、やる時はやる」
そんな人物に憧がれている自分がいます笑
「氷菓」の名前の意味は、この本を読んで確かめてみて下さい!
4.「氷菓」は、小説でもアニメでも面白い作品!
「氷菓」は、
<古典部>シリーズとしてこの後も続いていきます。
アニメ化もされていて、京都アニメーション作品なので絵もかなりきれいです!
しかも人気声優さんが声を当てているので、
アニメでも超おススメです!!
登場人物たちの声を聴いて、声の感じを確かめてから小説を読むのもありです!!
日常の謎に、
個性豊かで魅力的な登場人物たちが活躍する
青春ミステリー小説
「氷菓」
是非読んでみて下さい!
最後まで読んでいただき
ありがとうございました!!