【感想】「情報系女子またたびさんの事件ログ」日野イズム著|偽造写真や防犯カメラの捜査方法が分かる!情報系科学ミステリー小説!!

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こんにちは、ミャザです!

 

今回紹介するのは、

日野イズム 著

「情報系女子またたびさんの事件ログ」

 

理系の中でも、「情報系科学」をメインとしています。

「偽造写真」「防犯カメラ」の捜査を扱ったミステリー小説です!

 

正直、

情報系科学の知識を丁寧に説明してくれていますが、理解するのに時間がかかって大変でした。

でも最後まで読むと、その情報系の用語や説明にも「意味」がちゃんとあります。

そして、それが解決のヒントや、手助けをしてくれています。

勉強になったし、「なるほど!」と思えるような面白い情報もあって、

ミステリー好きなら、一度読んでみることをおススメします!

 

※少しだけネタバレを含みます。

1.「情報系女子またたびさんの事件ログ」作品情報とあらすじ

1.1:「情報系女子またたびさんの事件ログ」の作品情報

著者  :日野イズム(ひのいずむ)

出版社 :TO文庫

発行年月:2015年7月1日

ページ数:209ページ(kindle版)

 

1.2:あらすじ

滋賀県にあるR大学情報理工学部の学生、相川作久良(あいかわ・さくら)は学園祭の中止を企む犯人捜しのため、「画像情報研究室」を訪れる。そこに寝ていたのは中学生にしか見えない女の子。彼女こそ、通称「またたびさん」と呼ばれる、情報科学の天才的な研究者、木天蓼麻美(もくてんりょう・まみ)だった。合理性を優先し人の心を解さない麻美はお人好しの作久良と共に事件解明に挑んでゆく。

メインの登場人物

・相川作久良(あいかわさくら):情報理工学部の三回生(男)で「お人好し」

・木天蓼麻美(もくてんりょうまみ):博士課程一年で天才だが「超合理主義」

この二人をメインとした、情報系科学ミステリー小説です!

2.「合理主義者」と「お人好し」コンビの関係性

2.1:真逆コンビが、事件を解決!

相川作久良は、「超お人好し」

木天蓼麻美(またたびさん)は「超合理主義」

さくらがお人好し過ぎて、またたびさんが興味を持ち、またたびさんの合理的で天才的な知識を、さくらが必要としている。

そんな真逆コンビが、情報系科学の知識を使って事件を解決していく物語です。

 

読んでいて感じたのは、

さくらは、授業を全部出席している優等生ですが、頭がいいわけでも切れ者というわけでもありません

だから、またたびさんの「助手役」かと思っていたら、「お人好し」を活かし、自分で足を使ってそれなりに推理していく「探偵役」でした。

 

またたびさんは、超天才で情報系の知識を使って合理的に考えていく人物。

だから「探偵役」なのかと思ったら、たまに登場してさくらに情報を渡す「助手役」というイメージでした。

 

頭の良いまたたびさんが情報を渡し、

一般人のさくらが足を使って推理する。

よくある探偵ものとは、すこし違った役割のミステリー作品です。

そして、その「お人好し」が頑張って事件を解くだけでなく、

物語にも、事件にも、「意味がある」展開になっていました。

 

お人好しのさくらが、事件を一生懸命捜査しているのを

「なぜそんな頑張るのか?」という質問に対するセリフで、

さくらが

「理由は特にないです」

と言います。

こういう「お人好し」過ぎな発言がたまに出てきますが、

けっこう鼻につきます笑。お人好しキャラだから仕方ないと分かっているんです。

でも読んでいると、心が汚れているからか、イライラしてきます笑

 

皆さんは物語を楽しむためにも、大目に見てやってください!

3.「情報系科学」の知識が身に付く!

3.1:偽造写真を作る方法 ※悪用厳禁!

偽造写真を作る方法の一つに、

「背景差分法」で写真を偽造する方法があります。

「事前に背景だけ撮影しておいて、人と背景が写った画像を撮影する、それから背景を引いてしまえば、ゼロにならなかった部分が人が写っている部分っていうのがわかる。だから、人の画像が簡単に抜き出せるの。ね、簡単でしょ」

差分を取って、人の部分を抜き出す。

この作業は、パソコンのCPUで処理すれば数ミリ秒で終るらしいです。

これを聞いたところで簡単にはできないと思いますが、

やろうと思えばできてしまうでしょう。

使い方によって、

「面白画像」「心霊写真」「犯罪行為」に使われたり、

ミステリー好きにはためになる知識ですが、悪用すると大変なことになりかねません。

「使った側の立場」にも注目して読んで欲しいです!!

 

3.2:防犯カメラで犯人を捜す方法

機械学習をさせて、顔検出する方法の一つで、

「Haar-Like特徴量」を用いる方法。

「簡単に言うと、九〇%の確度で正解する識別器一つを使うんじゃなくて、六〇%くらいの検出率を持った識別器をいくつも使うことで、より精度の高い識別をするシステムなんだよ」

分かりやすい例は、

「まぁ譬えるならあるクイズ大会に一人の秀才を連れてくるよりも、様々な分野に長けたそこそこの人をたくさん集めたほうが、正解率が上がるみたいな」

正解率を上げるために、あえて六〇%の識別器を複数使い犯人の顔を識別させる。

写っている人数が多いときに、犯人もしくは容疑者を見つけるために使います。

この道を通ったのに、こっちの道には通ったのが写っていない。

犯人じゃなくても、変な行動をしてるだけで容疑者になってしまう可能性もあるので注意です!笑

 

このような情報系科学の知識が、事件を解くカギ・ヒントになります。

理解が難しい専門用語も出てきますが、最後まで読むとその難しい情報にも意味があることが分かります。是非最後まであきらめないで読んでみて下さい!

 

情報系の知識とパソコンがあれば、今ではなんでもできちゃうって、

すごいけど、ちょっと怖いですね。

4.理系大学ならでは?の心に刺さった「名言」!

4.1:「自由」がいいのか、「誰かに与えられる」のがいいのか

この物語では、理系大学での「研究テーマ」を決める場面ですが、

それだけでなく仕事や勉強、自分で何かやろうと決めるときに、

「自由に決める」のか、もしくは「誰かから与えられて決める」のか。

自由に決めたい!って思っていませんか?

そんなときに読んで欲しい名言。

「従来やられていない、やりがいのあることを今までにやられていない方法で解決する。それが応用工学における研究。それを知識もない、技術のない学部生の頭だけで考えるのはとんでもなくしんどい。例年落ちてく子はだいたいこの研究テーマを決めるところで脱落してく、まぁつまりは落第しちゃうんだけどね。研究テーマを誰かから与えられる方がずっと楽なんだ

「自由に決める」を選択するということは、全てを自分の頭で考え、全ての責任を自分で背負って進んでいかないといけない。

「ラクそうだから」、「楽しそうだから」くらいのノリで決めてしまうと、結局何も考えられず、行動できずに終わってしまう。

こんなことになりかねません。

 

学生生活では、誰かに与えられたことをやっておけばそれでOKでした。

嫌々やっていましたが、それって恵まれたことだったんですね。

「自由に決める」ことで得られることも多いですが、

「誰かに与えられて決めた」としても、そこに全力を注ぐことができれば、いずれ楽しくなるし、ラクに動くこともできるようになります。

つまり、「自由に決める」のか「誰かから与えられて決める」のか、

どちらかではなく、「自分は何に全力を出せるのか、出したいのか」で選ぶことが、最も大事なんだということが分かる名言です!

5.ミステリー好き必読の「情報系科学ミステリー」です!!

今回紹介した「情報系女子またたびさんの事件ログ」は、

「情報系科学ミステリー」となっています。

正直、

「情報系科学」の説明は、理解するのに時間がかかって大変でした。

でも最後まで読むと、その情報系の用語や説明にも「意味」がちゃんとあります。

 

「偽造写真」「防犯カメラ」の捜査方法を扱っているので、

ミステリー好きなら一度読んでみると、

勉強になるし、

「なるほど!」と思えるような面白い情報もあっておススメです!

 

日野イズム 著

「情報系女子またたびさんの事件ログ」

是非読んでみて下さい!!

最後まで読んでいただき

ありがとうございました!

 

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